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映画「ドンジュ」で話題の詩人【尹東柱】ゆかりの地を歩く②新村・延世大学

ぴょる

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この春110万人の観客を動員した映画「ドンジュ」。カンハヌルが演じた主人公・詩人尹東柱(ユンドンジュ)をご存じですか。
尹東柱は韓国人が好きな詩人です。

実は尹東柱ゆかりの地はソウルっ子たちのお出かけスポット。3回シリーズで尹東柱ゆかりの地を紹介します。
最終回はキャンパス再創造を果たしたばかり、新村の延世大学。尹東柱の母校です。

新しく生まれ変わった延世キャンパス

韓国の先生の案内で、ソウル市内の建築物を見て回ることになり、3年ぶりに延世大学を訪ねました。

私にとっては久々の母校訪問。心弾ませて正門を入ると、今まで見慣れていたものとは違う光景がありました。
大規模な工事が行われていたことは知っていましたが、キャンパス全体がとってもすっきりして、気のせいか空が近くに感じられたほど。

新しく生まれ変わった延世キャンパス

これは創立130周年を迎える延世大学がさらなる未来を見据え、2年の歳月をかけて完成させたキャンパス再創造プロジェクト。

車がひっきりなしに往来するメインストリートを歩行者専用道路にして、その周辺にイチョウの木や芝生などで緑の空間をつくり、地下には会議室や多目的ホール、レストランやカフェなどを備えています。

お土産を買いたいという友人たちの要望で、地下の生協に寄ってみました。

クリアファイルやペンケース、エコバッグなど延世大学のロゴやシンボルの鷹をデザインした文具類が豊富で、約束の集合時間を過ぎても皆お土産選びに夢中。
私もいろいろ迷った末にしおりと付箋をゲットしました。

延世大学のロゴやシンボルの鷹をデザイン

変わらぬたたずまいの歴史ある校舎と尹東柱詩碑

新しい変化を見せるキャンパスの中にあっても、カチカチと鳴くカササギや、創立期に建てられた由緒ある校舎は以前のまま。

由緒ある校舎

メインストリートをぬけた本館前の前庭には、私たちに語りかけるように両手を広げた創立者アンダーウッドの銅像と、その銅像を囲むかのように配置された石造りの3つの校舎が。

ここは映画やドラマのロケ地にもよく使われる場所ですが、どれもイギリスのチューダ王朝期のゴシック様式。韓国の文化財に指定された伝統ある建物です。
灯台下暗しというように、在学中身近にあったときは気づかず、こうして離れてみて初めてその価値に気づくこともあるのだと実感したのでした。

木々に囲まれた尹東柱詩碑も、彼が3年間を過ごした寄宿舎(現在は尹東柱記念館)に見守られるように建っていました。

尹東柱詩碑

図書館で尹東柱の詩集「空と風と星と詩」に出会い、その世界に吸い込まれるようにして詩碑の前に立ったあのときの記憶がよみがえり、詩碑に刻まれた序詩を久しぶりに声に出して詠んでみました。

序詩

死ぬ日まで空を仰ぎ
一点の恥辱(はじ)なきことを、
葉あいにそよぐ風にも
わたしは心痛んだ。
星をうたう心で
生きとし生けるものをいとおしまねば
そしてわたしに与えられた道を/歩みゆかねば。

今宵も星が風に吹きさらされる。
(伊吹郷訳)

人は恥なく生きることなどできるはずもないのに、そうありたいと願う尹東柱の純粋な思いと強い決意。
韓国では暗唱する人も多い、世代を越えて愛される詩です。

新村の街が文化とロマンあふれる街に変身!

延世キャンパスにつづくように、新村のメインストリートもすっかり様変わりしていました。

こちらも4車線の車道を2車線にして歩道を広げ、一般車両の走行を規制。週末は歩行天国にしています。

また、ユニークなオブジェを設置して人々の目を楽しませたり、近現代を代表する詩人や作家たちの手形をプリントした銅板を歩道にはめこみ、「文学の道」をつくったり。

ユニークなオブジェ

銅板にはこんな若者たちへの激励のメッセージも添えられていました。

「月がある。太陽がある。君がいる」(高銀)

「痛みに打ち勝つから青春なんだ!」(パクポムシン)

もちろん延世大学の詩碑から転写した尹東柱の序詩もありました。

この文学の道は学生街でありながら、飲食店や遊興施設が多い新村の街を文化の街にしようと、西大門区がつくったものです。
現在は周辺施設と連携して詩の朗読会や街角音楽会など、さまざまな催しが行われ、新しい新村文化を生み出しているとか。

はからずも延世大学と新村の過去と現在、そして未来を見ることとなった今回の旅。
次回の旅の楽しみがまた一つ増えました。

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